魔物姫の婚活~聖界樹と憂鬱な女神~ / 月本ナシオ

本の感想, 作者名 た行月本ナシオ

次期女王として、即位時に夫を迎えなければいけないフレデリカは、成人前に父大公が設定した「結婚相手候補」と見合いから逃げ出す口実として、そして普通の人とは違う「体の異変」の謎の手がかりを求めて国にある四ヶ所の神殿への巡礼の旅を決行する。しかし、結婚相手候補で幼馴染の機転で三人の婚約者候補もこの巡礼に同行することになる。

だいぶ駆け足だった印象。

「自分の体が<魔物>のように変化」しているように見えてしまうという悩みを持つフレデリカ姫。自分自身でしかこの変異を感じられていないせいで、周囲からは変わり者の姫として扱われている始末。しかし、この「聖地巡礼」で目の当たりにした国の異変、そしてその異変に自身の「魔物化」が関係しているらしく、さらに自分以外にも「魔物化」が認識できるようになってきて……と、いうようなお話。鳥籠状態のお姫様が、自分の目で現状をみて、そして自分のできることを知り、さらに決意するところがかっこいいお話でした。
「結婚相手候補」が3人いる、と書いてあったのでこれは逆ハーレムものかと思ったらそんな雰囲気すら無く(実質最初からほぼ一人で確定)、そのうち一人にいたっては最初からやる気ない感じだったのでその辺りの「ドキドキハラハラ」はなかったのが残念なのだか安心なのだか。ときめき面のドキドキよりも、なんかえらくドロドロしてそうな国内のピンチをどうやって切り抜けるのかなー、というところが気になりました。

あ、あと。自分自身が痛いのはわりに耐性ある方と思っているんですが、このお話のフレデリカの「痛い(物理的に)」描写は、ちょっと、苦手だ!(グロいのにつながるのは極力目を薄く開いて読み飛ばすタイプ)
ついでに、タイトルよく見てなかったので最後まで読んで「こ、婚活……?結婚前に願掛けに巡礼は婚活かもしれん……」というように妙に納得したのでありました。

魔物姫の婚活~聖界樹と憂鬱な女神~
月本ナシオ/増田メグミ
一迅社アイリス文庫(2013.07)
amazon/honto