音狩り魔女の綺想曲 / 斉藤百伽
迫害された魔女の末裔のリュリは人里離れた山奥で暮らしていたが、隠遁生活に嫌気が差し街にでてきてその能力を活かして「音箱」を売って生活していたが、音楽にすべてを捧げる変人王子ユトに捕まってしまう。音を封じる能力を持つリュリを理想の女性とし、いきなりリュリに求婚してきたユトに引きずられてリュリはユトの元で「お妃教育」を受けることになってしまう。
そうそう、こういう話が少女小説だよ!と握りこぶしで読んだ作品でした。
ルルル文庫らしい、といったらいいのかなんなのかなんですが、そんな素敵な読みきり少女小説でした。ルルル文庫でもハズレがないなぁと思っている斉藤さんのお話なので期待しておりましたが(それにしては読む時期を逸しておりますが)、期待を裏切らないよい少女小説で!ラブもあるけど陰謀もね!というこのなんともいい塩梅の宮廷舞台の少女小説で!楽しかったです。
いちばんニヤニヤしていたのは、リュリとユトがそれぞれに惹かれていくところなんですが、どっちもなるほどね~と思うようなエピソードの積み重ねで楽しかったです。気の強いリュリと、そんなツンツンしている彼女は軽くいなして我が道を行くユトの掛け合いがテンポよくてよいものでした。リュリの力を存分に活かした演奏シーンは楽しそうで読んでいていいなぁ、と思える良いシーンでした。
また、脇を固める食えない腹心の商人さんと、そして野望に満ち溢れているユトの姉上さまも味があり、最後は納得の大団円でとても満足。
個人的には数冊続くシリーズ物を読みたいなぁという思いはあるので、読み切りばかり続くのはちょっと残念なんですが次回作も楽しみです。