精霊歌士と夢見る野菜 虹色の祝祭 / 永瀬さらさ

本の感想, 作者名 な行永瀬さらさ

「精霊歌士」になるための「予備学院」に何とか入学したメロウは、仕事と学業の両立で忙しい日を送っていたが、成績があまりパッとしないらしくまさかの補講を言い渡されてしまう。補講を経て収穫祭の舞台で与えられた役割を果たせない場合は退学、という状況に追いやられてしまうメロウだが、一緒に補講を受ける同級生とどうもうまくいかない。一方、長期休み中ということでメロウの店に居候しているエイディは収穫祭でトリを務めるらしく、エイディにしてはまじめに取り組む姿にメロウは一抹の寂しさを感じていた。

思ったよりもシリアス寄りなのかも。

ビーンズ文庫の新人さん、デビュー作がシリーズ化してその2冊目。歌で植物を育てる世界にて、「植物しか」育てられないメロウと、天才(ただしニートというかボンクラだけど今回はかなり有能で目の錯覚かと)エイディの物語。この作者さんは暗黒面を描くのが上手い方なのかなぁ、と感じました。今回のエイディの闇といいますか、病みの部分に読んでいてぞくっときてしまいました。わー、これはヤンデレ、ヤンデレる?(のは苦手だけどちょっと読んでみたいかも) エイディのメロウについてきてほしい発言、そしてメロウとエイディの間のはっきりした、超えられない差の大きさがこれまたすごくて、このあたりをどう超えるのかなぁと楽しみではありますが、これ本当になんとか、なるの……?

さて、今回、メロウの仲間になったリーリさんとシャーディーくんは、最初のあたりは掴みどころがないし二人とも喧嘩腰だし逃げるしでなんだかなー(という展開にしてるのはわかるんだけど)、でしたが「仲間」になった後は、よいものでしたね!私こういう展開好きなので楽しかったです。リーリさんはきっと目がお金の形になるタイプの子なんだろうなぁ、とほほえましい気持ちで見守っておりました。仲間たちとの絆も含めて、続きも楽しみです。

※ビーンズのサイトにある同作品の書き下ろしSSを読むと、エイディがあの役を買って出た真の理由が明かされ(笑)、こいつ策士や!とニマニマしてしまいました。本編読んでから一度読んでみるとたのしいかも→SSはここから

精霊歌士と夢見る野菜 虹色の祝祭
永瀬さらさ/雲屋ゆきお
角川ビーンズ文庫(2014.03)
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