ハーフ・クラウン 氷の王女と緋色の約束 / 御永真幸

本の感想, 作者名 ま行御永真幸

とある事情で男装していた公爵ユフィと領地に引きこもっていた公爵ヴィンセントが結婚し、レイジエルド王国の共同統治を初めてから1ヶ月、行方不明だった前国王の第一王子ガウェインが王宮に現れる。そして時を同じくして、国内情勢が不穏な隣国の王女がレイジエルドを表敬訪問してくるが……

ベタボレー!がふたり。

前巻で丸く収まって続きは出るかな?という状況でしたが、無事続きが出たハーフ・クラウンの2冊目。突拍子もない行動の数々でひどい扱いのガウェインと、隣国の政変ととなかなか盛りだくさんの一冊でした。こう、少女小説のこういう政治ものって好きなんですよねぇ……たとえ色々緩くても……!
問題だらけの隣国マルヴァレフトは、久々に見た!悪女!という展開で(たとえうまくいことはわかっているものの)なかなか楽しめました。凛々しい王女様に、わりと食えない性格の王子様とこのふたりの兄弟も素敵でした。
あとはやっぱり、主役のふたり、ですかね。ヴィンセントはユフィにべた惚れだし、ユフィはユフィで一生懸命ヴィンセントの妻になろうとしているところが、頬を緩めずにはいられない……。一方でユフィの男前ぶりは健在で、こちらはこちらで格好良かった。いっそ清々しいほどのベタボレブリを発揮しているガウェインも最後の方はかっこ良く見えるという目の錯覚が起きたりと、少女小説的にいろいろと美味しい展開のアレコレで楽しかったです。

性別を隠して男装、という一番キモの部分が1巻で解決してしまっているので、今巻は前回ほどのインパクトがなかったのは事実ですが、でも、こういうお話は好きなので続きを読みたいですがどうでしょう。

ハーフ・クラウン 氷の王女と緋色の約束
御永真幸/雲屋ゆきお
集英社コバルト文庫(2014.06)
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