亜夜子と時計塔のガーディアン 秘密のお茶会 / 喜多みどり
19世紀末、奨学金を得て英国の男女共学のパブリックスクールに入学した亜夜子は、ロンドンの街中で彼女を助けた不思議な青年・レイと学校で再会し、かれのファグになることになる。「切り裂きジャック」とも恐れられるレイのファグとして忙しく働くことになる亜夜子は、学園で起きた謎の変死事件の真相を追うレイの手伝いをすることになる。
19世紀末のイギリスというだけで心躍るものなのです。
まともにあらすじを読んでなかったため日本人の女の子がイギリスのパブリックスクールに留学!というところまでしか知らなかったのですが(そしてここまでで十分心躍りまくった)、留学先で「変」な上級生のファグになって、彼が追う謎の事件の真相を一緒に究明していくお話でした。ちょっとひねくれているレイと、直球勝負のアヤコのがちんこ勝負のやりとりが微笑ましく、レイ語を翻訳するシーモアさんの「ちょっかい」もある意味で「友情」が感じられて面白かったです。うん、こういうひねくれた友情すきです……裏ありそうだけど。
今回の事件の顛末は思わぬ方向に進んでいき、よく考えると結構きつい展開と結末でしたね。さらっとどぎつくならない程度に黒いところが描かれるのが喜多さんの味かなぁ、と思いつつ、今回の黒さもなかなか読み応えのあるものでした。
レイのわりにシリアスな過去に、その過去に関係しそうな黒幕と、まだしばらく物語は続きそうですので続刊も楽しみにしています。
亜夜子と時計塔のガーディアン 秘密のお茶会
喜多みどり/サマミヤアカザ
角川ビーンズ文庫(2014.08)
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