文官令嬢の恋愛録 公爵閣下と封じた記憶 / 宮原ソラ

本の感想, 作者名 ま行宮原ソラ

家柄はいいが貧乏貴族のマリーは、生活のためにまだまだ珍しい女性官僚となり、左大臣の元(ただし下っ端の下っ端)で官僚生活を満喫していた。順調に官僚生活を送っていた彼女だが、上司である左大臣が交代し、国王の甥でもあるメルトファレス公爵ユージンがあらたに左大臣の座につく。下々の者には関係のない話だと高をくくっていたマリーだが、ユージンに「無礼」を働いてしまったため、マリーは毎朝ユージンの執務室を掃除するという役目を仰せつかることになる。

テンポのよいお話で楽しかったです。

web小説からの一冊。こう、「上司と部下」という設定から「女性を官僚とは認めない上司と、そこに食らいつくヒロイン」という話かと思っていたらそういう話では全くなく、むしろマリーちゃん(本人の気付いてないところで)ガンガン外堀を埋められているよ!というお話でした。予想してなかったので、この点の面白さがどんと倍(単純です)。
主にマリーの一人称で話が進んでいって、テンポはよいもののマリーの語り口が「れ、令嬢……?き、貴族の………?軽っ」というようなものとなっておりますので、ここが受け付けない人はたぶんイラッとしながら読むことになるのだろうなぁ、と思いながら、私は今回はあまり気にならなかったのでさらっと楽しく読めました。なんか、この辺りが「web小説だなぁ」というような、そんな感じ。こういうweb小説大好きなんですが、本になるとちょっと違うというかなんというか(この感情をどう表現すればいいのか、難しい)。

マリーのノリに反してわりに血生臭くて、そしてえらくバッサリあっさりしているところもあるので少々肩透かし、なのですがマリーとユージンのアレコレが楽しかったので相殺してさらにプラス!そして読了後少しリサーチしてみたところ、原案(web版)からかなりカットされているところもあるようなので、そのあたりを補完したらもっと楽しいかもしれないですねぇ。お兄ちゃんとか、絶対いい立ち位置だと思うんですよ!いつでも読めるようにはしておこう→web版:Alexandrite

文官令嬢の恋愛録 公爵閣下と封じた記憶
宮原ソラ/雲屋ゆきお
一迅社文庫アイリス(2014.09)
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