月と夜の物語 流浪の双子と炎の魔術師 / 小椋春歌

本の感想, 作者名 あ行小椋春歌

ランプの魔神ルーダイナの宮殿「月の丘」でザインらと暮らすライラは、マルジャーナとふたりで留守番をしていたところに、さらわれた姉を助けてほしいと迷い込んだ少年ファリドを助ける。ファリドの訴えを王に伝えるために三人でベルガの帝王の元に向かうことにしたライラだが、たどり着いたベルガの街でライラがさらわれてしまう。

ザインの腹黒さが光ってた!

前回、「完全無欠のハッピーエンド」とか書いたのに(読み切りと思ってた)、続刊が出たアラビアンなお話。今回は最強の魔神ルーダイナ他の出番がなく、ライラ、ザイン、そして後宮出身の美貌の剣士マルジャーナがメインのお話でした。ライラのうまい具合の天然ぶりと、それに翻弄されてるザインのやりとりが、ね。そしてザインの「腹黒い」「いい性格」がね、面白かった!「待つけど逃がさない」とここまで爽やかに言い切るヒーロー、あんまりお目にかかれないのでいろいろ楽しかったです。ザイン以外にも「いい性格」の王子様も楽しく、なんというか、ライラちゃん大変だなぁ、と。

今回のゲスト・ファリド少年の事件に関しては、なるほど!という顛末でした。親子っていろいろと難しいな、いろんな親子や家族の愛の形があるんだなぁというお話で、少々しんみりしてしまうそんな顛末。事件の顛末自体も興味深く、どのあたりに着地するかよくわからなかったのでハラハラドキドキの展開でした。

今回出番がなかった三人も好きなので(特に王子様)、続きがあればまた登場に期待してもいいのかな?と思いつつ続きを楽しみにしています。

月と夜の物語 流浪の双子と炎の魔術師
小椋春歌/まち
ビーズログ文庫(2014.11)
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