ばけもの好む中将 姑獲鳥と牛鬼 / 瀬川貴次
おもしろかった!「額に肉」をいつまで引きずるんだと……(笑)
シリーズ2冊目。高貴なる方々の蹴鞠に巻き込まれる短編(蹴鞠にまつわる怪異談つき)、恋につかれて隠棲を望む宗孝の四の姉君の身辺で起きる蛍にまつわる怪異についての短編、そして宣能(と宗孝)が毎度の怪異巡りで拾ってしまったわけあり捨て子の中編の3話を収録したお話でした。最後のお話で蹴鞠と蛍のお話でのエピソードもきれいに収束していくところはさすが!と思わず感心した一冊でした。宗孝の「いい人」が災いして、自分で墓穴ほって姉君たちに問い詰められる姿が……読み応えがありました。
初草の君はかわいいし、姉君たちはパワフルで楽しいし、そして「華麗なる中将たち」は個性的で面白いしで今回も楽しかったです。光の君の再来、学者肌、癒しの君、そしてばけもの好みと個性が強すぎる……(笑)。まだまだ名前が出てきただけの方もいらっしゃるので今後の活躍が楽しみです。あとは牛車チェイスが迫力満点でした。牛車というイメージからは想像できないスピード感、これ映像で見てみたい。そして宗孝本人にその気はない(というか諦めてる)けど、実はどんどんすごい人との人脈が広がっていくところが楽しいなぁ、とも思います。これこそ宗孝の「人の良さ」がなせる技なんでしょうね。緊急時はできる子だし。
宣能の「親子の確執」の根が深そうかも、というところやこの人悪役ポジションや……という女御様の今後の動向が気になりますが、この先どうなるのかも楽しみです。