あくまで悪魔!~おまえに最初で最後の恋を教えてやる~ / 我鳥彩子

本の感想, 作者名 や~わ行・他我鳥彩子

魔王の邪気を吸い込んでしまい、神に愛された印である<聖憐の刻印>がなくなってしまったディオナだが、邪気を込めたリンゴを作ればそのうち印が復活すると聞き、ナハトに教えを請いながらリンゴ栽培に励むディオナだが、珍妙なリンゴしかできない。そうこうしている間にナハトにリンゴ作りの挑戦をするために遠方から魔族がやってくる。

全ての元凶がヤンデレというオチだったとかそんな最終巻。

作中作のスピンオフ作品4冊目。てっきりおまけの1冊なのかと思っていたらがっつり最後まで描ききってしまった、そんな最終巻でした。
はたからみるとどう考えても両思いなのに、それぞれの立場から相手の本当の気持ちに気づけず悶々となさるお二人さんが見ていてほほえましく、そしていろんなところで咲きそうな恋の花もなかなかにやにやな展開で、終始「ごちになります」という気分で読み進めておりました。
そんな、全体的に糖度のたかーいお話であり、そしていろんな意味で一番糖度的なものが高かった魔王さまのひねくれた愛が非常に重たいなぁと苦笑いでした。なんだ、元凶は好きすぎて愛が暴走した結果か、と(笑)。

悪魔が管理社会に身を置いて肩身の狭い思いをしつつも「あくまだ!えっへん」となっているのが面白く、そして現代社会を悪魔社会に置き換えたあれこれのユーモアが微妙につぼにはまりこちらも面白く、総じて勢いでなんか騙された気がするんだけどまあいいか!と思えるような舞台設定が楽しかったです。天使と悪魔の覇権争いなんてありませんでしたが(笑)、それがこの物語の味と言うことで。

あくまで悪魔!~おまえに最初で最後の恋を教えてやる~
我鳥彩子/深山キリ
集英社コバルト文庫(2015.04)
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