ドイツェン宮廷楽団譜 嘘つき婚約コンチェル / 永瀬さらさ

本の感想, お気に入り, 作者名 な行永瀬さらさ

バイオリニストのミレアは念願のドイツェン宮廷楽団に入団し、成り行き上、公爵家の跡取りかつ第一楽団の指揮者アルベルトと「求婚者よけ」の婚約者になってしまう。ミレアを下僕扱いする偉そうなアルベルトに反発を感じるミレアだが、アルベルトのアドバイスをうけて、第二楽団の仲間とともに切磋琢磨していく。一方、「養護院から見出された伯爵令嬢」というミレアの出自をさぐる動きがあり……

おもしろかった!良い少女小説!

ビーンズ文庫の永瀬さんの新作。非常に評判が良いので読むのを楽しみにしておりましたが、2017年の一番最初の読了本にとっておいおいて、取っておいてよかった(でも早く読んだほうが良かったかも)というような大層素晴らしい少女小説でした。

ワケアリの伯爵令嬢バイオリニストと俺様公爵子息指揮者、やる気があるんだか無いんだかの第二楽団の指揮者にツンデレ気味のヒロインの親友や余裕の指揮者悪友と、この登場人物の並びだけでこれで面白くないはずがない……という配置。がんばるミレアはかわいいし、ミレアとアルベルトの距離が近づいていくのは読んでいて楽しかったです。このミレアなら、アルベルトもほだされても仕方がない。ミレアの「聖夜の天使」については序盤も序盤でだいたい誰かはわかりますが(それがわかっているからの楽しさがだいぶある)、それに対してアルベルトがあれこれ苦悶するのがすごくたのしくて、楽しくて!
ミレアやアルベルトを追い回す報道関係については、なんだか思ってもみなかった方向に進んでいって、この一筋縄ではいかないところが流石だな、と。デビュー作で感じた面白さと似たようなワクワク感を感じました。

すっごく面白かったのでぜひシリーズ化してほしいなぁと思っているのですが、続き出ますかね……!?

ドイツェン宮廷楽団譜 嘘つき婚約コンチェル
永瀬さらさ/緒花
角川ビーンズ文庫(2016.12)
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