(仮)花嫁のやんごとなき事情13 ~未来へ続く協奏曲~ / 夕鷺かのう
ようやく本当に結婚することになったフェルとクロウだが、フェルはとある作法を知らず、クロウに聞くわけにもいかず、周囲に教えてくれるように駆け回る。直球で説明するわけにもいかない案件のため、ガセやらなにやら掴まされたフェルはとうとうとう当日を迎えてしまい……
幸せいっぱいのボーナスの一冊、楽しかったです。
フェルとクロウの本当の結婚のお話や、ちょっと切ない兄弟のお話、そしてラのお兄ちゃんがクロウに皇位を譲るまでのすったもんだのお話で、どれもこれもニヤニヤとしながらも「ええ後日談や……」としんみりできるお話でした。一番最初のお話はコメディ全開でしんみりもなにもあったもんじゃなかったですけどね!(たぶん少女小説界でこの種のネタに突っ走ったお話が書けるのは、今のところ夕鷺さんがほぼオンリーワンだと思う)
ひねくれつつもお互いを大事にする兄弟たち(ただし、二人目は除いておこう)の絆というか、思いやりというかがこれまた。長兄だからと一番自分のしたいようにできたなかったラの人を開放したクロウと、それを支えたフェルがかっこよくて素敵だった。
そして、クロウが想定通りというか、想定以上に子煩悩垂れ流して頭のネジ全部外れてるな、という状況が一番楽しかったです。フェルと出会えたからこそ、この穏やかな日常を手に入れたんだなぁと思うと想いもひとしおですね。
次回作もものすごく楽しみなので、期待して待っております。
(仮)花嫁のやんごとなき事情13 ~未来へ続く協奏曲~
夕鷺かのう/山下ナナオ
ビーズログ文庫(2017.2)
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