侍女ですが恋されなければ窮地です / 倉下青

本の感想, 作者名 か行倉下青

カファル公国の姫君エルヴィラに仕えるマリアダは、カファル公国妃でエルヴィラの継母テレーゼに虐げられるエルヴィラを信頼できる商人と駆け落ちさせることに成功した。しかし、テレーゼは公国が雇う傭兵隊の契約更新のために、マリアダにエルヴィダのふりをして傭兵隊の隊長ジルヴァーノを誘惑することを命じる。

テレーゼ様最強伝説の一冊でした。

New-Generationアイリス少女小説大賞の銀賞受賞作。ずっと気になっていたのをようやく読んだのですが、新人賞受賞作品とは知らずに読んでおりました。たしかに、言われてみれば新人さんらしい勢いがある作品でした。身代わり、入れ替わり?というか姫君偽装モノなのですが、マリアダの侍女モードで下地づくりと情報収集をするのと、姫君モードでジルヴァーノを「誘惑する(誘惑しきれてない)」の二重生活が面白かったです。途中でこれ気付いてるのかな、どうなのかな?という少女小説的にもおいしいところもあり、良い少女小説でした。

ただ、ジルヴァーノの影が薄いというか、終盤まで何考えているかよくわからない人なので存在感があまりなく、その代わりといっていいのかはわかりませんが「悪役」ポジションのはずのテレーゼ様のかっこよさが際立つというか、マリアダとテレーゼ様の応酬が非常にツボでした……マリアダの原動力(テレーゼに「ざまぁ」ということ)も強烈だし、転んでもただでは起きないテレーゼ様の男前っぷりも素晴らしく、本題の恋模様よりハラハラドキドキだったというわけの分からなさ(褒めてる)。

読みやすく楽しかったので(読み切りと思って)次回作も楽しみだなぁと思っていたところ、3月に続刊が出るとのことでそちらも楽しみです。

侍女ですが恋されなければ窮地です
倉下青/椎名咲月
一迅社文庫アイリス(2016.10)
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