ブライディ家の押しかけ花婿 / 白川紺子
ある事件をきっかけに男性不信をこじらせているブライディ伯爵家の令嬢マリーは、社交界にも出ず魔法石の研究に明け暮れていた。ある日、父親がマリーの婿を拾ってきたとデューイと名乗る青年を連れてくる。マリーの婿としてブライディ家に落ち着いたデューイは、事あるごとにマリーに求婚するがマリーはなかなかなびかず……
押せ押せのデューイが最後の最後にたじろいたところが(悶絶)。
既刊(若奥様、ときどき魔法使い。)の直後の時間軸が舞台。魔法石を愛して引きこもるマリーとマリーに一途に思いを寄せるデューイの物語で、連作3話完結のお話でした。前作は直接は関係しないものの、前作カップルのその後が少しだけ垣間見られたのは嬉しいボーナスだなぁと感じました。
魔法石に関する事件をマリーのその知識を持って解決に導くという展開なのですが、どの事件もその背景がなかなかつらいものがあり、じんわりときました。特にワンコの話は涙腺との戦い(個人的に)……。そんなか、ツンツンとまではいかないものの、デューイをそっけなくあしらうマリーと、マリーにどれだけそっけなくされようとも鋼の心で果敢に挑むデューイのこのやり取りがとても素晴らしく、徐々に変わっていくマリーがかわいくてすごく楽しかったです。
そして最後の最後にですね、はじめて防戦に回ったデュークがとても可愛かったのでこの最後のデュークの反応を見るだけでももう最高、というようなハッピーエンドで良いお話でした。少女小説っていいなぁ……。
ブライディ家の押しかけ花婿
白川紺子/庭春樹
集英社コバルト文庫(2017.05)
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