下鴨アンティーク 白鳥と紫式部 / 白川紺子

本の感想, 作者名 さ行白川紺子

祖母からいわくつきの着物の管理を引き継いだ鹿乃。残る着物は最後の一枚となり、その来歴を探ると野々宮家にゆかりのある女性の着物であることが判明する。野々宮家から出奔した女性のものだということで、女性の足跡をたどっていくが……

最終巻、鹿乃と慧が初々しいような熟年夫婦なような(ごちそうさまでした)

下鴨アンティークの本編最終巻(感想はこの2つ前のものしか書いてないんですが)、とてもよいものでした。
前巻でめでたくお付き合いを始めることとなった鹿乃と慧が初々しいのに何故か熟練夫婦のような安定感(急に余裕綽々の慧さん!)、そしてすねる良鷹お兄ちゃんというこのなんともいえないのどかさがいいもので、そして最後の最後まで残った着物の顛末が最後にふさわしい1枚だったなぁと思います。
最終話は良鷹寄りのお話で、鹿乃サイドの物語と違い生生しいというか若干のホラー色が出るのが(展開として)若干苦手なのですがこちらも安定の面白さでした。最後の最後の落としどころについては、それしかないだろうなと思いつつ急展開!で良鷹の懐の深さというか思いっきりの良さがすごいなぁとというようなそんな展開。慧に鹿乃をとられたというのが一番の原因だろうなぁとところですが。

おまけの短編集も近々電子化するようなので、こちらも楽しみです。

下鴨アンティーク 白鳥と紫式部
白川紺子
集英社オレンジ文庫(2017.12)
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