わたしの幸せな結婚 二 / 顎木あくみ

本の感想, 作者名 あ行顎木あくみ

清霞と生きていくことをきめた美世は、清霞の婚約者として社交界デビューするために、清霞の姉・葉月から淑女教育を受けることになる。清霞のためにと根を詰めてしまう美世は、体調の悪化と悪夢に悩まされていることを清霞に相談できずに一人追い詰められてしまう。一方清霞も仕事に忙殺され、美世の不調を見逃してしまう。

今回もごちそうさまでした……(拝んだ)。

シリーズ2冊目。異能一族出身なもの、異能を持たないため虐げられていたヒロイン・美世が嫁ぎ先(予定)で大事にされるお話で、この展開で美世ちゃんが異能を持たないのは詐欺だろう……という前巻から美世の力の謎やらなんやらが明かされる一冊でした。1冊目と合わせて前後巻みたいな位置付づけ。
美世の異能が封じられていた理由や、美世が持つ異能を受け継いできた薄刃家の事情、帝の思惑などが語られ、なるほど……と思う一方で、薄刃家周りや帝のアレコレについては納得がいかないというか、それだけ権力持ってるならもうちょっとうまいことなんとか薄刃家取り込めるんじゃ……と政治(陰謀)方面にめちゃくちゃモヤモヤしてしまったのは事実です。
しかし、そのモヤモヤがあるものの美世と清霞のすれ違いというか、双方相手方を想うがゆえに一歩踏み出せないもどかしさというかは良いものだったので全般的には好みのお話でした。いや、そこちゃんと話そうよ!ともどかしい気持ちも抱えていましたが、そこをさっさと解決してしまうとトラブルも起きませんし、いい塩梅であったと思います。

モヤモヤしてしまう面はあるものの、美世と清霞の「幸せな結婚」(予定)の様子を見守るだけでとても満足なのです……モヤモヤ面(陰謀面)は、スパイスというかなんとうかではあるものの、もうちょっとパンチがほしいなぁと思いながら、とりあえず確保してる3巻も引き続き楽しみです。

わたしの幸せな結婚 二
顎木あくみ/月岡月穂
富士見L文庫(2019.07)
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