今宵、ロレンツィ家で甘美なる忠誠を 恋のはじまりは銃声から / 深見アキ
リタとアルバートの一進一退の関係が良いものでした。
第2回ビーズログ文庫大賞入選作の改稿作でマフィアに保護、というか迎い入れられた、というか連れてこられた(たぶんこれが正解)の女の子が、切れ者で見た目はピカイチなものの若干ひねくれた性格のマフィアのボス(青年)のもとで自分の居場所を見つけるお話。
家族に売られそうになって声を失ったり、保護してくれた老婆と死に別れて人さらいにあってしまったりと全方位に不幸が続くリタが、受け身の状態から積極的に行動し始めることになる中盤あたりの展開はとても好きです。籠の鳥にしておきたかったアルバートの目論見が外れて、お飾りのつもりだったのに……というリタに対するアルバートの想定外の執着もいいものですね。手のひらで転がしてるつもりが、すごい勢いで転がり落ちていくリタを(必死に)追いかけるというアルバートの様子がよい……。「冷静なヒーローが一見冷静に焦る」というのが結構好きなのでとても美味しくいただきました。ごちそうさまでした。
リタの黄金瞳とカルディア島の関係は単なる偶然ではないような気もするし、アルバートが黄金瞳のリタを花嫁にする理由も、アルバートの説明の裏に何かあったら更に面白いんと思うんだけどなぁと、などと次巻以降に展開できるようなネタもあるので、続きはないのかな?と少し期待しています(※本巻だけでも決着はついてます)。
タイトルと表紙が何やら面白そうだなー(あと、少女小説におけるマフィアものはハズレがないという経験から[1]ただし、ぱっと思いつくのはデ・コスタ家くらいなんですが)となんとなく手にとった作品ではあるのですが、よく考えたら新人賞作品を読むのは大変久しぶりでは?な状況でした。最近とんとアンテナが低くなってるのでこれを気にもうちょっと手を伸ばすようにしていきたいです。
ついでに、猫が出てきますが死にません[2]今回からCat Check始めてみようと思います。覚えてる限りで。。
今宵、ロレンツィ家で甘美なる忠誠を 恋のはじまりは銃声から
深見アキ/冬臣
ビーズログ文庫(2020.11)
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