龍ノ国幻想4 炎ゆ花の楔 / 三川みり

本の感想, 作者名 ま行三川みり

女でありながら皇尊として即位した日織は、あらたに左の大臣に就任した乙名から皇尊の地位を争った不津を夫として迎えるように進言される。次代を残すことが皇尊の務めとはいえ、不津とは考えの根本から相いれないうえに悠花と添い遂げたいと考える日織は進言を受け入れることはできず対応に苦慮する。一方、日織と縁を結んだ反封洲の有間は王の座を得るために戦を始めていた。

相変わらず有間さんがかっこよすぎた。

龍ノ原で日織が足場を固めるために奮戦するお話と、反封洲で有間が進軍するお話との二本柱ですすんでいく4巻でした。このお話が始まった時点では信じられる人が身近にしかおらず、疑心暗鬼になる日織の中盤までのもどかしさは読んでてつらいものがあり、一方で着々と先に進んでいく有間の力強さは血なまぐさく泥臭くあるもののある種の爽快感もあり、二人の立場と心持の違いの対比も興味深かったです。有間さん方面、かなり血なまぐさいし、あの人方面はたぶん因果応報的な感じでバッサリ行くのかなぁと思っていたら予想外の方向でのばっさりさで、血なまぐさい、すごい容赦ない……と感心しながら読んでいました。信じられる人だからこその有間の決意というかなんというかがねぇ……間違いなくヒーローだこの人。

日織は日織で、血なまぐささはないもののドロドロとした陰謀が張り巡らされ、「落とすところまで落として(ミクロ的な問題をまず)スカッと解決する」という爽快さのあるイベントで少し(読んでいる方も)気持ちが上昇。悠花関係は解決してないんですけどね、そして今回陰謀を暴露された人については、たぶんいろいろまた何かやるんだろうなぁというところもあるんですけどね。

折よくこの後すぐこの続きがに二冊連続刊行とのことなので、このままの勢いで読んでいけたらいいなぁ……。

龍ノ国幻想4 炎ゆ花の楔
三川みり
新潮文庫NEXT(2022.11)
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