マリエル・クララックの約束 / 桃春花

本の感想, 作者名 ま行桃春花

最愛の夫シメオンからの誕生日前の毎日のプレゼントに心躍らせ幸せな毎日を過ごすマリエルであったが、もう一つ並行して行っている活動(覆面作家活動)に関していきなり盗作疑惑が持ち上がる。マリエルの作品を盗作だと断じる大衆紙への投稿者との接触を図るべく行動を起こしたマリエルだが、またしても盗作疑惑を超えた事件に巻き込まれてしまう。

まさか、あのおっさんが……!

盗作疑惑からまた国をまたぐ陰謀というか事件に巻き込まれたマリエル、いつもながらに「持っている」ヒロインのお話でした。マリエルのヒロイン力(という名の事件引き寄せ力)はやっぱりすごいなぁ……毎回違和感なく大事件につながる(作者さんの)構成力もすごい。盗作疑惑の原因を作ってしまったとしょんぼりするシメオンが本当にクソまじめでいいヒーローだなぁ。確かに良かれと思って贈ったプレゼントで盗作疑惑が起きたらと思うと(かつ、妻は事件引き寄せ系ヒロイン)心情は察して余りある。しかしそれすら乗り越えていくマリエルは本当に心強くてよい。

最近お見掛けしないなぁという方もなんかそれっぽいんだけどなぁと思ってたらそれっぽい感じで物語をかき回していたのがよかったです。神出鬼没なのがよいですね。そして以前出てこられていたゲストキャラ、今回は途中でもうこれはアレだな(ネタバレなので指示語)というのがはっきりしていた中でしらばっくれ続けているのがちょっと楽しいような、早く詳細を説明してほしいような(思わせぶりすぎて気になった)というところがよかったです。裏を読まない、多くの場合で説明されるまで気付かない読者なのでこういうムズムズに慣れてないんだ……。

マリエル・クララックの約束
桃春花/まろ
アイリスNEO(2023.10)
amazon/honto/BOOKWALKER