マリエル・クララックの迷宮 / 桃春花

本の感想, お気に入り, 作者名 ま行桃春花

ラビア大公国のリベルト公子に嫁ぐラグランジュ王国のアンリエッタ王女の付添人を務めることになったマリエルは、アンリエッタの護衛の責任者を務める夫のシメオンとともにラビアに入るが、一行は予定とは違うさびれた離宮に案内される。ラグランジュからの輿入れを快く思わない現大公妃の差し金だという説明をリベルトから受けたアンリエッタは、大公妃との接触を最低限とするリベルトの勧めを断り宮殿に入ることを決める。宮殿内ではことなかれ主義の現大公と、敵意を隠そうともしない大公妃に加え、リベルトの末の弟公子もアンリエッタに冷たく接してきて……

妄想はばたくマリエルにごまかされそうになったけどさらっとなかなか厳しい展開、面白かった~。

確実に事件が起きるとわかっている輿入れに、そのトラブル慣れを見込んで付添人を任されたマリエルが(おそらく)予定より大きなトラブルを引き寄せて最終的にリベルトの思惑通りの結果になったというお話でした。いろんなことが立て続けに起こったクライマックスは、カリオストロ(の城/ルパン三世)かーい!という心のツッコミとともに楽しく読んでおりました。シメオンとリュタン、そしてなんか強そうなゲストキャラの老紳士というある意味最強の布陣だったし、罠にはめるはめるといってたのでまあ大丈夫でしょうというのもあったんですが、それでもやっぱりクライマックスはなかなかハラハラドキドキの展開でした。この手に汗握り具合が良いものでした。

今回、アンリエッタはある意味被害者のような立ち位置ですが、それでもたぶん事件の真相を知ってもどんと受け止めるんだろうなーという強さと賢さがいろいろなところで垣間見られてこのあたりもよかったなぁ。初恋(笑)の腹黒リベルトがなんやかんやとアンリエッタにはかなわないというか、尻に敷かれる未来が見えるぞ……!(と最近このシリーズで似たような感想を書いたのを思い出しました)

マリエル・クララックの迷宮
桃春花/まろ
アイリスNEO(2024/5)
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