はねっかえり女帝は転生して後宮に舞い戻る / クレイン

本の感想, お気に入り, 作者名 か行クレイン

成人する王太子の後宮が開かれることとなり、朱家では当主の姪で随一の佳人ともいわれる翠花が妃候補として後宮に上がることになる。当主の娘である美暁は名家の娘としては規格外であったため、美暁を後宮に送ることははなから考慮されていなかったものの、美暁たっての希望で美暁自身も後宮にはいることとなる。そんな美暁の真の目的は、王太子の妃となることではなく、前帝である女帝が亡くなってから独り身を貫いている現皇帝の後妻の座であった。

コメディに見せかけて実はヘビーな後宮もので面白かったです。

正式なタイトルは「はねっかえり女帝は転生して後宮に舞い戻る~皇帝陛下、前世の私を引きずるのはやめてください!~」とサブタイトルを省略いたしました、中華風転生(現世→異世界ではなく後世への転生モノ)ラブコメファンタジーで面白かったです。
「ヒロイン(美暁)とヒロインの従姉(翠花)が、後宮で妃を目指す話(ただしヒロインは引退する気満々の現帝がターゲット)」という出だしからして変化球。後宮での皇太子の妃の座をかけての女の闘いが繰り広げられる一方で、すげなくかわされる現帝へのアプローチを続けるヒロインのガッツというか、へこたれなくてすごいなというネバーギブアップな姿勢が面白かったです。

あらすじ(と私の感想)だけ見るとただのコメディか?というところではあるんですが、背景にあるのはかなりシリアスというかドロドロしています。そんな中、美暁の前向きさで物語全体としては明るさを失わないというのがいいなぁと感じました。あとは吹っ切れた現帝が……事情を知らない大半の人からすれば、息子の後宮の妃候補を!?というかなりの誤解といいますか(誤解ではないけど)が、こう、ある意味ご愁傷様というか……なんですが、まあハッピーエンドだからいいか~と最後は満足して読了できるのがよかったです。

はねっかえり女帝は転生して後宮に舞い戻る ~皇帝陛下、前世の私を引きずるのはやめてください!~
クレイン/鈴ノ助
フェアリーキスピュア(2024.03)
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