THE DAY Waltz 1 / 前田栄
ウィングス文庫の前田さんの新シリーズ。前田さんの本は他シリーズ「死が二人を分かつまで」(→感想:続きに期待中)を読んでいて、他のシリーズも読んでみたいなぁと思っていたところで新しいのが出てきましたので、チャレンジです。
あらすじから想像していた物語とは大分違って、正直な話びっくりです。もっと悲壮感漂ったシリアスストーリーかと思えば、フィラレテスのあの性格のお陰で……。長い間本に囚われ、何人もの本のマスターとともに”その日”を繰り返してきたフィラレテス。何か悟りきっている所があっておちゃらけてしまってはいるものの、根っこの部分はシリアスなんです。しかし、いろいろあってジャパニメーションマニアというところで全ておじゃんです。(正確だけどある意味)間違った日本知識をパウロ(外見はほぼ日本人な日系人)に伝えるフィラレテスが楽しかったです。思わず感心してしまう場面も多々でした。
悪魔の書が焼き払われてしまった日を繰り返し、1ページずつ取り返していく、但し命がけなので失敗してしまったらもう元には戻れないという緊迫した状況を、その”賢さ”で乗り切るパウロのお手並みは見事です。ダテにいろいろあってひねにひねている大人びた少年ではありません。しかし、そんなパウロがフィラレテスと関わっていく中で時々見せる少年っぽさが良いですね。
本編の方は謎のホムンクロスの少女の動向次第でしょうかね。なんやかんやで反則だからなぁ、彼女。おまけの番外編では凄腕エージェントなパウロ大好きメイドに笑いました。”その日”以外のパウロの日常も、実はそんなに棄てたもんじゃないかもしれないなぁと思った次第です。
THE DAY Waltz 1
前田栄/水色スイス(イラスト)
ISBN:978-4-403-54118-6
新書館ウィングス文庫(2007/07)
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