風の王国 初冬の宴 / 毛利志生子

本の感想, 作者名 ま行毛利志生子

ツァシューに戻った翠蘭は、人々からの懐妊の祝いを受けつつも、親友で侍女の朱瓔の婚約を誰よりも喜んでいた。しかし、同時に翠蘭の子供の乳母の座を虎視眈々と狙う有力者たちや、王太子としての自分にゆれるラセルなど、翠蘭は浮かれてばかりもいられない状況で……


風の王国最新刊の12冊目、かなり長期シリーズになっていますね。今回は長の旅から戻ってきた翠蘭など久しぶりに主要メンツが勢揃いのお話でしたが……、めちゃくちゃ盛り上がりに欠け(以下略)。今回はシリーズ初の一話完結型ではなく、以下続刊を待て!のラストだったというのが一番大きいのでしょうかね。

幸せ気分いっぱいの方がいらっしゃる一方で、確実に不幸オーラを出している方々もチラホラと。そんなラセルのいじらしさが光るお話でした。子供は子供なりに大変なんですよねぇとしみじみしてしまいます。頭のよい子ほど、大変ですね。それはガルの息子にも言えることで。あまりにものラセルの健気さに彼の幸せを願って止みません。
そして、ガルとガルの義弟ケレスの狐と狸の化かし合いがはじまるのではないかと少し期待していたのですが、次に持ち越し。ケレスは考えていることがよくわからないのでちょっと不気味でした。あのラストからして、彼が次にどう動くかが非常に気になります。

img風の王国 初冬の宴
毛利志生子/増田メグミ(イラスト)
集英社コバルト文庫(2007.09)
ISBN:978-4-08-601064-1
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