“文学少女”と飢え乾く幽霊 / 野村美月
物語を食べるほど愛する文芸部の部長・天野遠子が設置した「恋の相談ポスト」に投げ込まれたのは、辛い言葉と謎の暗号が書き込まれた不気味な紙片だった。文芸部への挑戦と受け取った燃える部長に引きずられ、もう一人の文芸部員・井上心葉は謎の差出人探索調査に巻き込まれる。
文学少女第二弾。読了後はとても辛くて切なくて、しかし一部ではどこかなんとなく暖かいものも感じてしまうという非常に感想に困る物語でした。……、全体的にはやっぱり辛いんですが。
今回のゲストキャラ雨宮蛍ちゃんの幸薄さ加減が非常に読んでて辛いのものがありました。現代を舞台にしたこういう展開は、すごくリアルに感じてしまうから苦手です。ほ、ホラーだ(怖いの苦手)。
しかし、殺伐としたところはあんまり無くて、遠子先輩の優しさやらなんやかんやでなぜか優しい物語に感じてしまうという不思議。いや、展開自体はめちゃくちゃ辛いんですが。遠子先輩ならそのお得意の薀蓄でうまく表現してくれそうですが私にはそのスキルはないので無理です。
どの登場人物も心にいろいろ抱えていそうで一筋縄にはいきませんし、これからもいきそうにありません。遠子先輩の傍若無人(?)ぶりと琴吹さんのツンツンっぷりに時折和みますが、基本的にはシリアスですよね。さてはて、次の物語は何をモチーフに繰り広げられるのでしょうか、楽しみです。
“文学少女”と飢え乾く幽霊
野村美月/竹岡美保
ファミ通文庫(2006.09)
ISBN:4-7577-2915-4
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