シャーレンブレン物語 見習い従者と銀の姫 / 柚木空

本の感想, 作者名 や~わ行・他柚木空

病気や怪我を不思議の力で癒すことができるという、シャーレンブレンの象徴でもある<癒し姫>。ミナワは幼なじみである<癒し姫>ユリフィアの後を追い、数年後に晴れて憧れの場所にたどり着いたのはいいものの、そのユリフィアはユリウスという傍若無人な青年であるという事実を突きつけられる。男なのにその性別を隠して<癒し姫>であり続けるユリウス。毎日のようにユリウスに振り回されるミナワは、ある日、<癒し姫>の行幸先である鉱山の街で事件に巻き込まれる。


第2回小学館ライトノベル大賞ルルル文庫部門佳作受賞作のデビュー作。
非常に読みやすい新人さんで、すらすらーと読めてしまったのがまずポイント高し。
そして、個人的には結構(かなり?)好きな作品だなぁ(以下、ちょっとツボに入ったのでかなり甘めの感想となっております)。

ユリウスの勝手気ままさに振り回されつつも、一生懸命一歩一歩前に進んでいくミナワの健気さが涙を誘います。一方のユリウスもつかみ所がないものの、ミナワを大切にているところが節々ににじみ出ていてよいのです。ユリウスの護衛……、そんなのいたっけなぁ(←途中までは目立つが中盤以降は見せ場が少ない)。
ストーリーの展開自体は王道というか、地方の腹黒さんをやっつけてやると、もうちょっとひねりはないのかーと最後までどんでん返しを(私が)期待する程度にちょっと一本道な所はありましたが、まあミナワがかわいいので何でもいいや。そして、しめるところはびしっとしめるユリウスもなんだかんだでかっこよかったのでまあいいや。メインの二人の立ち位置がかなり好物な感じだったので、続きも期待だなぁ。このままのノリだと癒し姫とそのお付きの世直しの旅になりそうですが、それはそれで毎回いろいろ楽しめそうです。
今のところ甘いとかラブとかそこら辺はかけらも見えませんが、うまい方向に転がると(個人的に)超ツボな作品になりそうな予感……。

imgシャーレンブレン物語 見習い従者と銀の姫
柚木空/鳴海ゆき
小学館ルルル文庫(2008.06)
ISBN:978-4-09-452068-2
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