wonder wonderful(上) / 河上朔
※本日の感想はとても信者です。先に断っておきます。
某みりおんぐらむさん経由で今年の3月くらいに「うわもうすごいツボなにこれめっちゃおもしろい」(超意訳)というような鼻息の荒さではまってしまい、一時期少女小説感想サイトの間で結構流行っていたのではあるまいかと思われるネット小説『wonder wonderful』(作者さんのサイト【therehere】)の書籍化です。分厚いです。二段組で結構ありますね。基本的にはネットで公開されているお話とほとんどかわりありませんが(細かいところが修正されているのでしょうか?)、上下巻それぞれと初回特典でのネット公開で書き下ろしが読めるので、もう買いです、買い(それがなくても買っていたでしょうが)。本は手に持ってゴロゴロできるからいいんだよ!主人公の性格やら何やらを総合的に鑑みますに、一定以上のおねえさま方に受けがよいのではないかと思われるお話です。
ストーリーとしては、アネゴ肌でしっかり者の長女気質で恋愛体質ではない社会人のこかげが、妹のピンチに異世界に飛び込むお話。当の妹は異世界で王様の彼女になっていたりと、普通ならこっちが主人公ですよねぇと思ってしまうような変化球なところからスタートです。ザキ君とひなたの為に王宮の面々にいい顔をされないこかげですが、そこら辺はぐっと不満をこらえつつも大人の対応をするところはさすがだなぁ、と。いろいろと自分の身に降りかかる事を頭の中で整理し、消化し、対応策を練っていくというこかげさんの脳内プロセスで話が進んでいくので、そのあたりがだるいなぁと感じてしまう人にはお勧めできないのですが、わたしはこの脳内プロセスがとても好きなので読んでいてわくわくします。こかげさん頭いいね!憧れます。王宮で世話されるよりも街中にでて働いちゃえ、その方が気楽で楽しいよーというたくましさもすごく好感が持てます。
無意識のうちに魔性の女となっているこかげにも脱帽。本人気付かずのうちにいろんな男をノックダウンしています。読んでいて楽しい。護衛3人組やダイランをはじめとして、隊長も上巻が終わった時点で確実にやられてますよね。そして隊長といえば、読み直して感じるのは、隊長ってわりと初期からかっこよかったんですね、ということです。最初は本当にいやーなやつだったのに、何のかんのでだんだんと二人の距離が近くなっていくところとか……小ゴロゴロです。
ひなた救出作戦が動き出す直前で上巻終了、なので後半もとても楽しみです。
なお、上巻の書き下ろしはひかげ護衛の3人の少年達の物語。シーリー、ヨーサム、ラシュと3人共にいい子です。
wonder wonderful(上)
河上朔/結布
イースト・プレス(2008.09)
ISBN:978-4-827257-944-4
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