ヴァンパイア執事 お嬢様と血の密約 / 入皐

本の感想, 作者名 あ行入皐

太陽信仰ソラーレ教を信仰するシシリア公国で、魔を滅する浄化の力を持つレイラは聖少女としてソラーレ教の象徴的な役割を果たしていた。しかし、レイラには誰にもいえない秘密があった。彼女にいつもつきそう執事のダリウスはソラーレ教の敵である吸血鬼でもあったのだ。ある日、吸血鬼絡みの事件に遭遇したレイラとダリウスは、事件の真相を探るうちに聖少女と吸血鬼の関わりに気付き……


今回はいつもにまして↑のイントロあらすじがおかしな事になっていますが、「吸血鬼+執事+メガネ+鈍感=正義」というお話です。

吸血鬼ものとして一番の重要ポイント(吸血シーン)が妙にお耽美だったのを除くと、お嬢様の自覚するかしないかとてももどかしいいい具合の恋心とか、お嬢様命の執事(そしてとても鈍感)とか少女小説的にとてもおいしい展開でした。吸血シーンは少女小説的にはぎりぎりセーフ、かな。うん、私の基準ではセーフだ。

主人公カップルの無自覚ラブっぷり以外には、事件の真相にたどり着くまでのサスペンスタッチな所もわりと面白かったです。どういう繋がりなんだろうなぁと予想できるような、できないようなそんなちょうどいいあんばいだったように感じましたので(※推理物はとても苦手なタイプなのでこれくらいがちょうど良い)。脇役たちも個性が強くて結構楽しかったです。ダリウスの元婚約者でレイラの護衛役の彼女は、いろいろ不穏な動きをしそうです。続きがあるのなら要チェックな人そのいち。

制約のある中での二人の想いはどうなるのかとか、ダリウスのライバルはライバルとして認められるのか、とかいろいろ気になる要素はありますねー。続きでそうです。(が、個人的好みで文書のテンポが合わないのがいかんともしがたい……面白いんだけど)

ヴァンパイア執事 お嬢様と血の密約
入皐/池上紗京
一迅社アイリス文庫(2009.02)
ISBN:978-4-7580-4059-4
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