神々の夢は迷宮 / 西東行

本の感想, お気に入り, 作者名 さ行西東行

海で暮らす海人の一族に育つワツレンは、大嵐に遭い一族全てを失い一人生き残った。海軍将校のルーザ=ルーザに救われたワツレンは、彼の養子となり王都の「迷宮管理庁」で暮らすことになる。ルーザ=ルーザの親友の助手として忙しい毎日を過ごすワツレンであったが、通常の人には見えないよう隠されている「迷宮」の入り口を見つけてしまい……

すっごくワクワクしながら読んだ!

「迷宮モノ」(というジャンルがあるのかどうかは知りませんが)のデビュー作が堅実ながらとても面白かった西東さんの二作目は、やはり迷宮モノでした。今度の主人公は元気印の男の子ワツレン。ワツレンと彼の保護者となる少し暗めの研究者エトがお互いに刺激を受け、成長していく姿がよかったです。そして謎の詩人さんもやっぱり登場されて、謎すぎて魅力的だ。

海人の秘密、迷宮の秘密、そして神の真実(のかけら)と次々にあかされる謎にただただ感心するばかりで本を読む手が止まりませんでした。さらにワツレンがかわいくて(といったら成人直前の彼に対して失礼かもしれませんが)。もう親戚の子どもを見守る気分。ワツレンとエト(とついでにルーザ=ルーザ)が幸せな場所に落ち着くといいなぁといろんな意味で手に汗を握りました。脇役もそれぞれ魅力的。クールなユーフラテスさん、やりてなあの方、そしてツンデレじいさんはいいものだ!

ある意味シリーズ化しているように思いますので、次回作もまたワクワクする迷宮モノを!と期待しておきたいと思います。

img神々の夢は迷宮
西東行/睦月ムンク
講談社X文庫ホワイトハート(2009.11)
ISBN:978-4-06-286617-0
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