伯爵と妖精 愛しき人へ十二夜の祈りを / 谷瑞恵

本の感想, 作者名 た行谷瑞恵

伯爵家に嫁ぎ初めてのクリスマスシーズンを迎えたリディアは、父やロタなど親しい人々と伯爵家の領地であるマナーン島のカントリーハウスに滞在していた。カントリーハウスにある不思議なドールハウスに入り込んだリディアとエドガーは、エドガーのシルヴァンフォード家での最後を追体験することになってしまうが……<愛しき人へ十二夜の祈りを>

エドガーは昔からエドガーだったよ!という短編集。

コバルト本誌に掲載された幼きエドガーがやっぱりタラシだった+ポールがエドガーにたらされた短めの短編3編(「遠き日のシルヴァンフォードにて」)、リディアとエドガーの新婚くらいのお話を描いた短めの短編×2と長めの短編×1(「アシェンバード伯爵夫妻の甘い日常」)、シリヴァンフォード家の崩壊を描く書き下ろし中編(「遠き日のシリヴァンフォードを離れて」)の全7話収録。

ミニエドガーのたらしっぷりにとても笑い、リディアとエドガーのラブっぷりにあてられ、シリヴァンフォード家の最後についてはもっとじっくり読みたかったかも、というような読み応えのある短編集でした。とくに、シリヴァンフォード家のお話は、かなりさらっと描かれているにもかかわらずとても重く、裏ではもっといろいろありそうなのでがっつり読みたいなぁといいますか。しかしがっつり物語になると救いようもなさそうなのでこれぐらいでいいのかも、です。

エドガーにたらされたときに運命が決まってしまっているポールが随所で光った短編集でもありました。ロタのおじいさまと杯を交わした(ようである)ポールのそのときをとても読みたいです!ポール超がんばれ!ととても応援しています。

img伯爵と妖精 愛しき人へ十二夜の祈りを
谷瑞恵/高星麻子
集英社コバルト文庫(2010.05)
ISBN:978-4-08-601402-1
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