子守り魔王と姫騎士団長 / 夕鷺かのう
小イルマニアの皇女クレアは、超絶運動音痴ながらも軍の騎士団長を拝命し、日々政務に没頭していた。クレアを嫌う継母の正妃は、クレアとその軍に、最近世間を騒がしている魔王討伐を命じる。気乗りがしないままも魔王討伐に向かうクレアだが、クレアがそこで出会ったのは、「生け贄として捧げられた」赤ん坊を涙ながらに養育するスーパーおさんどんな「魔王様」だった。
子守と魔王が違和感なく同居してた。すごい。
ヤンキー巫女の夕鷺さんの魔王なファンタジー。独特なところがある作者さんだなぁと勝手に思ってるんですが、ファンタジーでも独特でした。だって、南米テイスト!チリ、アンデス、ペルー!(知ってる南米をとりあえず並べてみた) 南米土着の文化ではなく、南米に根を下ろしたスペインやポルトガルの系譜の王朝のお話、と理解しました(さすがにこの理解は間違っていないはず……!)。
自分一人で何もかも背負い込んでしまうクレアと、彼女を裏から表から支える副長、そして噂の「魔王さま」の微妙な関係がいいですねぇ。クレアの運動音痴ぶりというかドジぶりは、そこまで行くとおまえわざとか、わざとなのか!と疑ってしまう程度に苦手なんですが、でもなんやかんやで楽しめました。事件の真相や、「魔王」の謎などもなるほどなーと予想外のところで素直に感心することしきり。
副長がどうして魔王様を苦手としてるのか分かったような分からないような、な所はありますので(魔王様の出自、だけではないような……)、そこらへんも今後掘り下げてほしいなぁとか思ったり。
ということで、私は寡黙な副長ルートを押したいところです!(すいません、全然「ということで」じゃありません。主張したかっただけです)