そして花嫁は恋を知る 月の女神は黎明を導く / 小田菜摘

本の感想, 作者名 あ行小田菜摘

イリアティーヌは新たに帝位に就いた夫シリウスを支え、ブラーナの皇妃としてできることをしようとしていたが、イリアティーヌの知らないシリウスの過去に大きく関係する女性が現れることによって心乱される。そして同時に、新興宗教であるルシアン教の勢力が無視できない程の急拡大を遂げており……

一つの宗教が国教となるまで。

「そして花嫁は恋を知る」シリーズの最新刊にしてこれでしばらくおやすみ、という今巻は前巻の続編。無事結婚したイリアティーヌとシリウスの前に立ちはだかる宗教問題。宗教こわっ、群衆こわっと思いながら読んでいました。難しい問題に真っ正面から取り組んだお話だったなぁと思います。……「恋を知る」ではなかったんだけど。恋を知ったのは皇帝の友人だったようだけど。

たぶん、コバルト的には「昔の女か!夫と謎の過去を持つ美人にヤキモキするヒロイン」にキリキリしながら読むのが正しいところだとは思うのですが、なんといいますか、シリウスさんがあんまりそういうことに興味がなさそうなのでその点はあまり気にならず、こすい手で勢力を拡大していく新宗教のお手並み拝見、とそれに対抗するイリアティーヌの度胸と思いっきりを楽しみながら読んでいたように思います。政治と宗教が結びつくのはやっかいだよねぇ、本当に……。

個人的には甘さがなくても(ちょっと大河っぽいところとか)楽しめて好きなシリーズでした。次の新作も楽しみ!

imgそして花嫁は恋を知る 月の女神は黎明を導く
小田菜摘/椎名咲月
集英社コバルト文庫(2010.02)
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