ある日、月の夜に。―わがままな魔女と人狼の騎士 / 渡瀬桂子
強大な魔力を持つために若干17歳にして多数の魔族を使い魔として使役し、王国騎士団長までも務めていたセレナだが、ある日昔なじみのアストルに魔力を奪われてしまう。魔力を取り返すためにアストルの行方を追うセレナのお供は、セレナに絶対服従の人狼ルーファス、セレナにある物で釣られた吸血鬼のアリーちゃん、そしてなぜかセレナの家に居候ししている謎の魔族のザイアスの三人だけになる。
これまた強力なツンデレ!よい主従物でした。
天上天下唯我独尊な魔女・セレナとその下僕ルーファスとの掛け合いが何とも楽しい読み切り?の一冊でした。セレナの高飛車ぶりといいますか、女王さまっぷりといいますか、わがままっぷりは見ていてほほえましいところがあるんですが、彼女がこうならざるを得なかった背景が少しずつ語られるところが良かったです。そして、彼女の近くで彼女のために生きることを決意したルーファスの犬っぷりが、かわいい!
かわいいといえば個人的にはアリーちゃんが好きです。アリーちゃんとアレイスターのギャップがたまりません。ぎゃっぷもえ。もえというかニヤニヤでいうと、クライマックスのセレナとルーファスのやけくその応酬がよいですね。すがすがしい、青春っていいなぁ。
物語の展開も、非常にだまされやすいというか裏を読まない読者なので(あの人あやしいわーと思いつつも)、素直にだまされておおっと素直に驚く展開で楽しめました。オチがオチだけにその後の「右腕」争いは楽しみだし、暇を取った魔族たちは無事社会復帰できるのか!とその後がいろいろ気になったりします。
ある日、月の夜に。―わがままな魔女と人狼の騎士
渡瀬桂子/カスカベアキラ
一迅社アイリス文庫(2011.05)
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