半魂香―まどろみの巫女と<守護者>―上 / 響野夏菜

本の感想, 作者名 は行響野夏菜

代々<半魂の術>を用いる事のできる巫女が族長を務める星輝族の若き巫女サシャは、唯一無二で最も頼れる<守護者>で幼なじみのヤハンと共に一族を率い、越冬するためにサマーラーのオアシスにやって来た。サマーラーの公子から早速宮殿への招待を受けたサシャは、サマーラーに密かに滞在するある要人のために<半魂の術>を施してほしいという要請を受ける。

ただのバカップルの話と思ってすいません。

巫女とその<守護者>があまりにも両想いすぎて、このバカップルめどうしてくれよう!と思ってたら二話目で急転直下でバカップルと思ってすいません、と平謝りしたくなった新書上下巻の一冊目。両想いとはいっても、一族の掟で決して結ばれることはないというところがかなり切なく、そして互いに一族を大事にしているからこそ一歩を踏み出さずに互いの責務を全うしようとしている姿は胸キュンモノなんですが……でも、サシャはヤハンに対して頻繁に恋する乙女だし、ヤハンはヤハンであからさまに「サシャは俺のモノアピール」だしで大変ごちそうさまでした(好物です)。

二話目の急転直下は、草原を脅かす存在の国の皇子のサシャへのちょっかいと、そして一族にふりかかるかもしれないあれやこれやの前振りでこれまた続きが気になります。草原にとってもそのあり方が問われる出来事が現在進行中で、今までなんとかこの問題にタッチせずにいた星輝族も否応なしに巻き込まれていき、そこでどうサシャが立ち回るか非常に気になるところ。皇子もサシャ個人に興味があるようで、ヤハンも気が気でならない!そして一族の掟から一歩踏み出せないサシャとヤハンが、どんな選択肢をとるのかも気になりますので、下巻も近いうちに読んでしまいたいです。

img半魂香―まどろみの巫女と<守護者>―上
響野夏菜/山下ナナオ
幻狼Fantasia Novels(2011.04)
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