わたしの嫌いなお兄様 / 松田志乃ぶ

本の感想, お気に入り, 作者名 ま行松田志乃ぶ

元士族のご令嬢で女学生の有栖は、ある日突然自身の婚約を知らされる。婚約相手は従兄かつ幼馴染の要。要の難儀な性格を知り尽くしている有栖は、この婚約話を白紙に戻すために、西洋人形紛失事件の真相を明かすべく奮起するが……

おもしろかった!

おてんば女学生・有栖と、有栖を熱烈に愛する大学生かつ小説家かつ素人探偵・要のにやにや推理モノ3連作。要が見た目詐欺なほど俗物でやりたい放題で面白かったです。関西弁でいうところの「いらんことしい」「いちびり」を地でいきすぎる要のアレコレとそれに振り回されまくる有栖のやり取りが非常に面白く。要はハチャメチャなりにちゃんとお兄ちゃんしているところ、そして締めるところは締めたのがよかったなぁ……、ぎゃ、ぎゃっぷもえ?

一番お気に入りは2作目かなぁ。こういう大正女学生モノで、女学生さんたちが少女小説にキャッキャしている場面が非常に好きです。楽しいです。可愛いは正義。この話は、期待通りのオチでこれまた面白く。他の二作もわりにすっきりきれいにまとまり、人が死なないミステリーなのでお気楽に読めたところも良かったかなぁ。

要がかなりハチャメチャなのですが、最後まで読むとこのヒーロー像はヒーロー像でありかなぁ、と思いました(「※ただし、イケメンに限る」という注意書きが頭をよぎって仕方なかったのですが)。綺麗に終わってはいるものの、こんな話もまた読んでみたいなぁ。

わたしの嫌いなお兄様
松田志乃ぶ/明咲トウル
集英社コバルト文庫(2012.10)
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