宝塚-宙組 / 「モンテ・クリスト伯」「Amour de 99!!-99年の愛-」
宙組さんの大劇場公演を見て参りました。
お芝居に関しては、こう、ある程度宝塚の公演を見るとぶつかる壁、「ああ、あの人が作演出……えーと、あんまり過剰な期待は……」というという公演だったのですが、予想以上に楽しんでいる自分がいたので、なんか負けた気分でした!心地の良い敗北感ですけどね!
■モンテ・クリスト伯
有名な作品ですが私は読んだことがなかったので、岩波少年文庫版(全3冊)をざーっと読んでから見てきました。基本的には原作のままなんですが、メルセデスがモレルさんの娘になってたり、他にも色々1.5時間に収めるための改変がちらほらと。本編自体の改変はラストを除いて違和感はありませんでしたが、話をさくさく進めるために特設されたと思われる「アメリカのハイスクールの学生たちがモンテ・クリストの劇をするために、物語を解説してくれる」のは、えーと、なんというか、……浮いてたかなぁ。浮いてたよなぁ。わかり易かったけど、他にも方法があったんじゃないかとかなんとか(フェードアウト)。
コスプレ祭りなので全般的に目の保養でした。凰稀さんかっこいい。絶望しているときも目がギラギラしてて、負けてないところがかっこいい。そして、許すことと復讐と。相対するこの2つの行為をどうモンテ・クリスト伯が受け入れるのか、見応えがありました。
三悪役もかっこいい。朝夏さんのこれぞ悪役っ!というかっこ良さと、悠未さんのちょっと小悪党っぽいところと、蓮水さんの苦労性だけどあくやくになっちゃった……というところが、なんとも言えない。蓮水さんの眉間にシワが出そうな検事が良かったです(悪役なんだけど)。
実咲さんの最初の白いドレスめちゃかわいかったのでこちらも目の保養でした。実咲さんがポスターで剣を持ってる姿が凛々しくてカッコイーと思っていたんですが、最初の白いドレスと最後の展開の合わせ技、とな。いいなぁこの白いドレス。もう一人のヒロイン、エデ姫も本当に可憐でよいものでした。彼女が一番、大人だなぁ、と。
緒月さんの元海賊今は家令が伯爵のことを心底心配しているところなどはぐさっときました。
個人的にはもう一つの三人組、海賊の三馬鹿が好きです。なんで九州なまり!と最初は非常に疑問でしたが、復讐の時に生きてましたね。……いやー、おかしいとは思うんだけど、終盤はそこら辺なんだか超越しちゃって……。
と、こう、シリアスの中にあるコメディ分に疑問を感じつつ、これがなかったら暗いしあってもいいかもなぁ、でも要所要所にあった、見てる私は思わずげんなりするアレコレ(そして、演出家は多分舞台の袖でどや顔)というところはむむむ、と思ったのですが、そのあたりを超越して楽しめたんですよ!最後の10分はなんか違う話になってたんですがよかったんですよ!原作読んだときは想像もしなかったハッピーエンドで。え、メルセデスさんそのオチなんですか……(そりゃ急ぐわな)というような、どこに言えばいいかわからないツッコミたい気持を持て余しましたがよかったですよ!負けた気分ですが!
■Amour de 99!!-99年の愛
昔の著名な演出家さんへのオマージュの作品。過去の名作の名シーンをいろいろ楽しめるショーでした。
私は宝塚のファンとはいっても諸先輩からみればまだまだひよっこで、このショーで知っている曲は2曲か3曲だったので、新鮮な気分で見ておりました。ちょっとぶつ切り感はあったし、宝塚を初めて見る人がいたら「ぽかーん」となるような構成ではあるな、とは思いましたが……。
このショーの目玉といえば、やはり、おうきさんの、美脚……これは寿命が伸びる。ありがたやありがたや……(笑)。おうきさんが出てくるときに客席が「来るぞくるぞ」という雰囲気になり、登場されたらざわざわついたのが印象的でした。こりゃ、ざわつかずにいられない。
個人的に一番好きなのは、こそ泥朝夏さんと実咲さんの舞踏会のシーンでしょうか。非常に美味しく素敵で眼福でした。そしてこういう設定に弱いので、このような設定のお芝居が見たいと切実に思いました。
更に眼福だったのは、もちろん、ラスト近くの男役群舞で。正統派燕尾服に各自薔薇を一輪持ってのダンスって、これにときめかなかったら私は何にときめけばいいんだ!という素晴らしさで疲れました。もうなんなのあれ反則、とこの頬の緩みを何処に持っていけばいいのか正直本当に困ったショーでした。