鬼舞 ある日の見習い陰陽師たち / 瀬川貴次

本の感想, 作者名 さ行瀬川貴次

やる気のない陰陽師・安倍晴明のもとに、呪詛問題を解決して欲しいという有力者の依頼が入る。力の強い術者が関係していると踏んだ晴明は、事件の真相を追ううちに蘆屋道満にたどり着く。

うるわしききょうだいあい。

晴明の若き日を描いた物語や、右近少将の華麗なる色男ぶり、そして道冬が「冬路」として後宮で潜入捜査をしていた時のある事件を描いた物語などを集めた短篇集。相変わらず畳は不動のヒロインでした。
全体的にそこはかとなく漂う「吉昌・吉平の仲のいい兄弟(ただし年頃の弟の複雑な感情でちょっと停滞中)」が良いものでした。小さい二人が可愛くて。数行の登場でしたがそれでも十分可愛さを堪能できたし、晴明がちゃんとお父さんをしているのに目から鱗でした。一番面白かったのは、後宮での絵合対決かな。女性の逞しさが光った一作でした。
本編もそれほど重くはないのですがシリアス展開に入っているので、全体的に肩の力を抜いて読める一冊で楽しかったです。

鬼舞 ある日の見習い陰陽師たち
瀬川貴次/星野和夏子
集英社コバルト文庫(2012.12)
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