乙女風味百鬼夜行 / 長尾彩子

本の感想, 作者名 な行長尾彩子

女学校に通う結花里は年下の婚約者・薫から手紙の返事がないことに不安を感じ、友人の双子にけしかけられて薫がこもっているという櫻居家の別邸に乗り込む。そこで結花里は普段は薫のお陰で見えていない櫻居家に取り付く「妖怪」を見てしまい……

にぎやかでかわいらしいおはなしだなぁ。

大正時代!女学生さん!というこの二つのキーワードのみに惹かれて読んでみた本作品、なんだか想像していたのよりもだいぶテンション高めのコメディで、この事実を受け入れるのに少し時間がかかってしまいましたが、そのあたりを乗り越えたらあとはワイワイと楽しい一冊でした。いろいろとハイテンションなので、それについていけるかで楽しめるかどうかが決まる……かも知れない……。

結花里はイマドキ?(大正時代の女学生さん的に)の可愛らしい女の子で、年下の婚約者にメロメロ。そして当の年下の婚約者・薫君も結花里にメロメロで、クールにいろいろと結花里にちょっかいをかけるものだから面白い。そしてこの物語中一番変な結花里のお兄ちゃん(妹がすきすぎて暴走するタイプ)がこれまた……。もうお兄ちゃん変すぎるので、「中二病」という言葉が出てこようと何しようとあんまり気にならなくなってきちゃいました……変なキャラの勝利。

短編連作で櫻居家にやってくる妖怪さんが巻き起こす騒動に巻き込まれるお話ですが、一番気に入ったのは花嫁修業のあのお話。なんか(ネタバレ)のような気がするなぁと思っていたらそういう展開で楽しかったです。やはり、期待を裏切らない少女小説は読んでいて安心だなぁ。

乙女風味百鬼夜行
長尾彩子/起屋一子
集英社コバルト文庫(2012.12)
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