薔薇は花降る都で咲き初める / 小田菜摘
幼いころの大火災で両親を失ったマリアンジェラは、兄の庇護のもと美しく育っていた。アルベルティ家のために「四度目」の結婚をすることになったアリアンジェラは、今後は有力な商家ヴィスコンティ家のレオナルドに嫁ぐことになる。今までの結婚相手と違い、年も近くマリアンジェラにかまってくるレオナルドに、期限付き関係ではあるものの次第にマリアンジェラは心を開いていく。
やっぱり、小田さんの堅めのお話は鉄板だなぁ。
「花嫁」シリーズ等々でよくお目にかかるルシアン教の総本山で権威を振るう名家のお嬢さんと、商家の青年の偽装結婚のお話。今までになかったほんのりルネッサンス風な設定が新鮮でした。今回のヒロイン・マリアンジェラはその生まれからいろいろなものを諦めており、命じられるままに政略結婚を繰り返す受け身なタイプ。対するレオナルドはマリアンジェラを年頃の女の子として扱い、二人の距離が徐々に近づいていくところが、鉄板ながらもいいなぁと思える展開でした。こう、政治的な堅めのお話の中に挟まれるジレジレ感が非常にいいんですよねぇ。ラブコメも面白いんですが、こういう「硬さ」は小田さんならではでいいなぁ、と思います。
マリアンジェラの周囲の男性が、レオナルドを除いていろいろ歪んじゃっているので、レオナルドの真っ直ぐさがこれまた光る。レオナルドも商家を引っ張る存在として決して「まっすぐ」ではないのですが、それでもやっぱりさわやかなのはポイント高いわ(笑)。お兄ちゃんに宣戦布告してこれからだ!というところでしたので、この後も続くかな、ぜひ続いてほしいな!と思いますので続編希望です。