斯くして歌姫はかたる / 朝前みちる

本の感想, 作者名 あ行朝前みちる

音を操り魔物から人々を守る「楽師」の中でも特に力を持ち、次期最高司祭と名高いエルネスティーネは、ある日対峙した魔物にその歌声を奪われてしまう。事件の解決のため、婚約者である王太子の勧めで楽院に編入して身を隠すことになったエルネスティーネだが、「力はあるものの稀代の音痴」という状況に、楽院のクラスメイトとなったオリヴィエに退楽を促される。

勢いはあるんだけど、読むのにちょっと疲れてしまいました。

第15回えんため大賞特別賞受賞作品。超強気な歌姫さんが、歌声を奪われて楽院で孤立しながらも奮闘し、そして彼女の歌声を奪った魔物と戦うというお話。

事前情報をあまり集めずに読んだのですが、表紙の雰囲気とタイトルからは想像できない程度に、テンションの高いお話でした……。ひとまず主人公の発言がだいたいテンション高い。自信に満ち溢れたど根性系の縦巻きロール髪お嬢様が高笑いしながら他者を終始挑発している(注:イメージ)系統のしゃべり方がずっと続くんですよねー。あれは自分を守るための鎧、というか虚勢もあるんだろうなーと話を読み進めていくとわかりますが、しかしわかったところで最後まで慣れず。沈みながらもいきなり挑発すだすしでちょっとついていくのが大変でした。
そしてヒーローポジションと思われるオリヴィエ君が思ったより影薄くて(ヒロインが濃いからな)、え、いつの間に!というところがあってなんだか消化不良でした。消化不良といえば、二人の王子様も、特に王太子殿などはひょうひょうとしている腹黒でヒロインの主人公の理解者という良いポジションなのにそんなにあっさり!と。もっとかき回してくれてもいいのにー!

といろいろもったいないなーと思うところもあるのですが、勢いはあるし話の筋も面白いので他のお話も読んでみたいなぁと思いました。

斯くして歌姫はかたる
朝前みちる/カズキヨネ
ビーズログ文庫(2014.02)
amazon/honto/BOOKWALKER