八番街の探偵貴族 はじまりは、舞踏会。 / 青木祐子

本の感想, 作者名 あ行青木祐子

とある事情から「恵まれた」最初の勤め先を辞めて絶賛求職中の元メイド・マイアは、進退窮まり「特殊業務ありの助手業務」という怪しい求人広告に応募する。型破りな面接に合格し、「探偵事務所」を営むレヴィンの助手として仕事をはじめる。マイアの最初の仕事はとある人物になりすますという奇妙なもので……

レヴィンのつかみ所がないところが結構楽しい。

青木さんの前作「ベリーカルテット」のスピンオフ、といいますか同じ時間軸でベリーカルテットのあの人の名前がちょっぴり出てきて思わずにやっとするような、そんな一作。今回は依頼はお助け事務所的な事件を描いた長編が一つと、そしてマイアの前職のお屋敷でのとあるトラブルを解決する短編が一つの2話収録。メインの事件は、事件の真相が徐々に明かされていくところに思わずほー、と感心していました。なるほどそうなのかー、と感心しながら読んでいた素直な読者です。

レヴィンが見込んだマイアの思いっきりのよさ、といいますか度胸のあるところがすごくたのしかったなぁ。いざというときにかっこいい女の子はよいものです。対するレヴィンはまだまだ謎がいろいろあって、今後語られるであろうレヴィンの背景なんかも楽しみだな。まだまだ「様子見」状態のレヴィンとマイアなので、この二人の微妙な関係もどうなるのか楽しみです。

八番街の探偵貴族 はじまりは、舞踏会。
青木祐子/⑪
集英社コバルト文庫(2014.5)
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