ガラクタ伯爵の婚約 人形の花嫁の欠けた心 / 瑞山いつき
兄が作った巨額の借金を肩代わりしてもらう代わりにナトライト伯爵家のアダムに嫁ぐことになった伯爵令嬢セラフィーナは、アダムとその家令以外は自動人形しかいないというナトライト伯爵家に辿り着くやいなや自動人形に襲われてしまう。
あら、これはなかなか(好みです)。
変人伯爵と噂されるアダムに嫁ぐ(予定)のセラフィーナの奮闘を描いた作品。自動人形やら自動車やら飛行船やらが出てくるお話で、瑞山さんの作風にスチームパンク、しっくりこないはずがない!と期待していたんですが期待通りの楽しさでした。
アダム、なんで女装……と若干遠い目をしてしまったのですが、この辺りは一応理由が明かされるので一安心。人に慣れていないアダムが、箱入りかつ淑女たれと育ったセラフィーナにとって常識はずれの方法で接して、セラフィーナがあわあわしているのがかわいかった、なぁと(野次馬根性)。だんだんと感情を表すようになったセラフィーナとアダムのやりとりもよいものだったなぁ。
アダムの腹心・家令のバートランドさんの「教育的指導」や、シェリーさんの有能な侍女っぷり、そしてこれは、疲れるわ……というセラフィーナの母と兄など周囲の登場人物もおもしろかったので、総じて満足です。よい少女小説でした。
ガラクタ伯爵の婚約 人形の花嫁の欠けた心
瑞山いつき/椎名咲月
一迅社文庫アイリス(2014.06)
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