宝塚-星組 / 「The Lost Glory―美しき幻影― 」「パッショネイト宝塚!」
星組さんの公演を見てきました。今回はお芝居に轟さんが出演されて柚希さんが悪役、というスペシャル公演でその後は久しぶりのショー!、と楽しみにしてましたが、よいものでした。
■The Lost Glory―美しき幻影―
シェイクスピアのオセロを土台に、世界恐慌直前のニューヨークを舞台にしたある男の栄光と挫折を描いた物語。主役のオットーは轟さんで、オットーに可愛がられてたはずなのに俺を無視してアイツを抜擢だと、赦せんと悪の道に走ったイヴァーノ柚希さんが悪役です。不勉強なのでオセロはなんとなくあらすじを知っている程度なのですが、あ、これたぶんシェイクスピアのセリフ、というところが何点かあって、ちょっと浮いてたの、が……ほら、シェイクスピアの劇ってじたばたしながら、陰々滅々の風を吹かせながら半ば切れかけで滔々としゃべり続ける事あるじゃないですか……そこが、ちょっと。いや、見せ場の一つで溢れ出る感情に圧倒されるのですが、他のところがそうでもないのでいきなりかいな!というか。
……とまあそのあたりはおいておいて。全編にわたり、ヒロイン・ディアナの夢咲さんがお美しく、轟さんがさすがの存在感で、そして柚希さんがトートの如くすべての悪いことを私が仕込みました!直接手は下してません!というあれこれがさすがのお話でした。もうこのミュージカルを見た後だと、世界恐慌ですらイヴァーノの差金に思えてきました。
最後のディアナの選択だけがどうしても解せなくて消化不良もいいところなのですが(今までこの物語で表現されているディアナならそれはないだろう、という)、いいところのぼんぼん・真風さんが人物紹介に書いてあるような壊滅的にダメ男ではなくて、それどころか物語のかなり序盤で改心してそのぼんぼんであるという魅力を使って奮闘するところと、コネチカットから来たあの娘さんとのなんとも微笑ましいやりとりが素晴らしかったので総じて満足です。いやぁ、いいねぇ。殺伐とした物語に一滴の清涼剤でした。
■パッショネイト宝塚!
久しぶりの星組さんのショーですごく楽しかったです。ダンサー柚希さんにたくさん踊ってもらいました!としょっぱなから柚希さん全開ですごかったです。
すごいなぁ、すごいなぁというところはたくさんあったのですが、一番すごいなぁとおもったのはやっぱりカポエラ?っぽい、柚希さんが出てきた途端に天下一武道会っぽくなる、終盤のところ。すごく迫力で、うわ、この人ら本気で組手してるよ!と一瞬ビビった振付がすごかったです。みんなすごいなぁ。
あともうひとつすごいなぁと思ったのは、中詰め終わった直後くらいに銀橋に柚希さん夢咲さんを始めとして5人でオラオラしているところ。あれ、前方の人きっともう瀕死ですよねぇ……遠くからみてても、あ、釣ってる!とよくわかる、とても心臓に悪い一コマでした。
宝塚はやっぱりショーだなぁと思う見どころたくさんのストレスフリーのショーで、楽しかったです。一本物もいいけど、やっぱりショーがある宝塚が基本だなぁと思いました。