贅沢な身の上 そう、吐息がときめきを教えるの! / 我鳥彩子
花蓮に皇太后毒殺未遂の容疑がかかり、天倫は急ぎ花蓮を実家に帰し、花蓮の周囲の人物に花蓮が後宮に上がったことは夢と思わせておくように言い含め、その間に事件を解決しようという「夢オチ作戦」を敢行する。しかし、花蓮は自分が後宮に、そして天倫といたという証拠を必死に探し始める。
陛下が!残念じゃない!
本編12冊目で8月発刊予定の次巻で最終巻の「贅沢」、今までの花蓮ちゃんの抵抗が嘘のように甘い展開で、とても、ごちそうさま、でし、た……陛下が残念じゃないんですよ。むしろ自分で残念な方向に持って行こうとするという残念さくらいしかないんですよ。びっくりでした。恋する乙女な花蓮ちゃんがかわいくてかわいくて、もう今までのあの抵抗は!とニヤニヤせざるを得ない展開で素晴らしかったです。あの今までの抵抗があったからこその、この展開なんですけどね、今までのことを思うと、ね。
とまあ、シリアスモードの陛下と花蓮ちゃん以外も、宰相殿と侍女殿のほっこりするやりとり(読者の大半は宰相母と同じポジションで楽しんでる気がする)もいいものでした。範理央のマイ・フェア・レディ計画物語とか、いつ読めるんでしょうかね!(とても期待している)
花蓮の一大ピンチは切り抜けてしまったので、これで最終巻にどんなエピソードが語られるのか、そしてまだちゃんと決着のついていないあの人とかこの人の落ち着く様子は語られるのか(それともいろんなトキメキ要素を提示するだけ提示して、あとはみなさんのご想像にお任せ!などという一種の生殺しの状況になるのか)、最終巻もすごく楽しみです。
贅沢な身の上 そう、吐息がときめきを教えるの!
我鳥彩子/犀川夏生
集英社コバルト文庫(2014.07)
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