鬼舞 見習い女房と安倍の姉妹 / 瀬川貴次
後宮で頻発する怪異を治めるために、再び女童の冬路として後宮に上がることになった道冬。しかも今度は「安倍家の遠縁の女房」として、吉平と吉昌までもが潜入捜査をすることになった。
まさかの冬路編完結編(かもしれない)。サブタイトルおかしい……(笑)
今までのどシリアスな展開から打って変わって、一息つける全編笑いに包まれた一冊。サブタイトル通り、見習い女房に扮する道冬と、ゴージャス美人女房姉妹に扮する安倍さんちの二人のまさかの女装祭りの一冊でした。もうこれ、おなかいたい……。色んな意味で巻き込まれまくった安倍さんところのライバル大春日さんがいろいろと不憫すぎる……いやもちろんわたしもこれ柱の陰から覗きたい系なんですけどね……。
中宮さま付の女房のバイタリティというか、ほとばしるパッションがすごくて、「すべてを萌やし尽す」あの勢いが、本当に楽しかったです。そりゃインスピレーションもわきまくりですよね。女装陰陽師の話は、普通に読みたいぞこれ(笑)。いやコバルトで最近読んで面白かったのがありますが、それはそれで置いておいて美味しいじゃないですかあのシチュエーション……。思いの外重要な役割だった帝のいい人ぶりから、あのオチの着け方は可哀想だなぁと思いつつも最後まで笑ったので大満足の一冊でした。
シリアスなのも面白いんだけど、このシリーズのキモはやっぱりこういう笑えるところにあると思うわ……楽しかったー。