ゲームセットにはまだ早い / 須賀しのぶ

本の感想, 作者名 さ行須賀しのぶ

高階はプロ野球選手になる夢を捨てきれず、今年こそは都市対抗野球でいい成績をと意気込むものの所属する企業チームの廃部が決定してしまう。そんな高階のもとに、創部一年目のクラブチームからのスカウトやってくる。気乗りしないままクラブチームへの練習に参加することになった高階は、久しぶりに野球を楽しむことができたが、やはりチームへの加入には首をふらなかった。

いい話だった……!

野球大好きな須賀さんの、夢を諦めかけた大人たちが集まる野球のクラブチームでもまれ、そして明日に踏み出していくお話。プロ野球選手まであと少し、というところにいた人や、長年企業チームを支えた屋台骨の選手、大学野球で挫折した選手、プロの世界から突如姿を消した選手といろんな選手が集まり、いろんなドラマが積み重なっていくところはさすがだな!と。個人的には「社命でマネージャーすることになったスポンサー会社の若手女子社員」さんの立ち位置にいろいろ考えるもの、が…… [1]昔のアレコレが走馬灯。安東さんのいつの間にかのめり込んでいって果てにはスカウトまでしにいってしまう姿が頼もしくてよかったなーと思いました。

最後の最後までどうなるのか大丈夫かなぁ、とヒヤヒヤする展開ながらも、ゲーム終了一歩手前の面々が、必死にあがいてフルカウントで逆転満塁ホームランともいえるとてもすかっとするきれいな結末で、いいもの読んだなぁとうるっとくるようなお話でした。

あと、割とどうでもいいお話ですが、メインを張っているわけではないのですが、エースの長谷川さんが何となくお気に入りです。苗字のせいもあるかもしれないのですが、ひょうひょうとしているイメージから脳内ビジュアルが「大河ドラマ(八重の桜)のヒロインちゃんの一人目の旦那の人」でした。うん、なんかそんな感じ。

ゲームセットにはまだ早い
須賀しのぶ
幻冬舎
amazon/honto

References

1 昔のアレコレが走馬灯