拝啓 彼方からあなたへ / 谷瑞恵

本の感想, 作者名 た行谷瑞恵

手紙に関係する小さな雑貨屋「おたより庵」を営む詩穂のもとに、中学時代の親友響子が亡くなったという知らせが届く。響子から、自分が死んだら届けてほしいという手紙を預かっていた詩穂はその手紙を響子の中学の時の友人に何とか届けようとする。一方同じ頃、詩穂の住む地域の若い女性の元に「きょうこ」からの謎の手紙が届くという嫌がらせが発生していた。手紙の内容から死亡したはずの「響子」と無関係とは思えない詩穂は少しずつ手がかりを集めていき……

ほっこり系の話かと思ったら実はちょっと背筋が寒くなるミステリーだったという罠があった。

谷さん初のソフトカバー本。あらすじ等まーっったく確認せずに読んだので、表紙と一話目から「不思議なお手紙にまつわるほっこりストーリ」なのかなぁ、と思っていたのですが、ほっこりストーリではあったものの、終盤は不気味な犯罪の関係する、だれが犯人なんだー不気味ーと夜読むには若干怖い [1]怖いの苦手。実際はそんなに大したことない。お話でした。そういえば、谷さんは最近はほっこり系のお話が多いけど割とざっくり厳しいところを書かれる方だったなぁ、ということを思い出しながら読んでいました。

詩穂のお店の常連客になりつつある強面の城山さんと、詩穂の昔の恋人のあの人。城山さんがだんだん株を上げていくのに対して元恋人のいやーなところが本当にイラッとするものがあって、物語上のこととはいえイライラしてしまうなぁ(笑)。人に依存してしまう詩穂が過去は過去のものとして一歩踏み出す話でもあるので、必要なこととはいえ辛いなぁ。

読んだ後は(サスペンス的なところは置いておくとして)お手紙っていいなぁ、としみじみと思ってしまうお話だったので、お手紙をいつでもかけるように道具を準備しておかなくてはいけないような気になっております。

拝啓 彼方からあなたへ
谷瑞恵
集英社(2014.12)
amazon/honto/BOOKWALKER

References

1 怖いの苦手。実際はそんなに大したことない。