わけあり商人の皇宮録~後宮は王子様だらけの楽園でした!?~ / 九月文

本の感想, 作者名 か行九月文

シュリーク商会の令嬢マィヤは、商会を都で一番の店にしようと、普段はアティルと名乗り男装した上で見習いとして地道に営業活動を続けていた。ある日、買い付けに出ていた父が戻ったものの、皇宮に品物を納めにいったまま行方知れずとなってしまう。父を捜すために皇宮にアティルとして乗り込んだマィヤだが、皇宮に集められた「王子様」に一瞬で女と見破られる。

マィヤのお目付け役のサフィードの苦労がしのばれます。

九月さんのビーズログの新作。商人の娘が都で一番を目指して修行する話……かと思えば国家規模の陰謀(の芽?)に巻き込まれていたお話。わりにヒロインの預かりしれぬところで話が進んでいくの若干置いてけぼり感がありますが、そのあたりはサフィードくんの苦労のおかげというところもあるので、サフィードの苦労はちゃんと実ってる。
さて、和平のために皇宮に「王子様」が集められてそんなわけで「性別逆転の後宮」状態で(ただし「後宮」としてはたぶん機能してない)、そこで父親探しをしながらも商売のタネを見つけて商魂たくましく算段を立てるマィヤが面白かったです。マィヤに協力、そしてマィヤを利用しようとする王子様もその境遇から「よく曲がらなかったなー」という人から「よくひん曲がったなー」という王子様とで王子様にもいろいろでした。次は違う王子さまが出てくるのか、この王子さまたちが続投なのか、この辺りも楽しみだなー。

物語のからくりというかあの人の正体その他についてはある程度の予想がついたものの、もう一つの正体についてはあんまり予想してないところからやってきたので純粋にびっくりでした。これは続きも読みたいのでゆるりと待ちたいと思います。

わけあり商人の皇宮録~後宮は王子様だらけの楽園でした!?~
九月文/すがはら竜
ビーズログ文庫(2015/04)
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