男装騎士の憂鬱な任務 / さき

本の感想, お気に入り, 作者名 さ行さき

小国パルテアのクルドア王子に仕えるオデットは、ヴィルトルのセスラ王女に婿入りすることになったクルドアの騎士として、兄の「オーディール」としてヴィクトルに向かうことになる。セスラ王女の側仕えのフィスターに最初からある疑いの目を向けられたオデットだが……

男装モノで面白くないはずがない!と思ってたらやっぱり面白かったです。

前作が面白かったので楽しみにしていた新作、知性を犠牲に戦闘力を手に入れたガーフィールド家の令嬢オデットが、敬愛する主君に付き添って女騎士が認められていない隣国に男装して向かうものの、同僚となったフィスターにいろいろと疑いを向けられつつもその脳天気さで騎士たちの中に溶け込んで、「騎士殺し」をしていくお話(あながち間違っていないあらすじ)。
オデットのポジティブさと、それはどうなの!と突っ込みたくなる疑惑払拭のための行動が面白く、そしてそんなオデットにほだされる同僚の騎士や強敵フィスターのやり取りが楽しかったです。フォスターもクール系の騎士かと思えば、仲間思いの結構面白い人で、オデットとフィスターのコンビネーションも素晴らしかったです。そして、フィスターそっちの疑いなのか!という最後のオチが面白かったです。
クルドア王子も健気なところが可愛かったので癒やしだなぁと思っていたのですが、クライマックスの彼の一言が重たい。幼いながらも小国の現実を見据えてのあの行動、流石だなぁと思いました。

いろいろおもしろかったので続きにも期待したいのですが、期待していいですかね?

男装騎士の憂鬱な任務
さき/松本テマリ
角川ビーンズ文庫(2015.02)
amazon/honto/BOOKWALKER