宝石商リチャード氏の謎鑑定 / 辻村七子

本の感想, お気に入り, 作者名 た行辻村七子

公務員を目指す大学生・中田正義は、夜の公園で酔っぱらいに絡まれていた超絶美形の外国人・リチャードを助ける。これが縁で宝石商を営むというリチャードに、正義は祖母の遺品の指輪の鑑定を依頼する。リチャードはその指輪に曰くがあることに気づき……

コンビとまではいかない、コンビモノでもないんだけど正義とリチャードの組み合わせが面白いなぁ。

デビュー作がロマン大賞受賞作で、オレンジ文庫から1冊出ているのですがSFかーと思ってながめていて(SF苦手でも読めそうではあるのですが)、気になっていた作者さんではあったものの発売してすぐには読み始めず、電子の海に積んでいたのですがエイヤとよみました。迂闊なまっすぐ大学生・正義と、正義をバイトとして雇うことになった美形の宝石商の連作短編。最近二冊目が出ているのも納得の面白さでした。

「謎鑑定」というタイトルですが、二人が積極的に謎解きをするわけではなく、リチャードのもとにもたらされた宝石や宝石を求める人たちが騒動をおこして、巻き込まれるというかそんなお話かなぁ。そしてそんな中で正義さんが無自覚にいろんな失言を連発し(褒めてる)、無表情でリチャードが悶絶するお話。正義の「天使」の谷本さんも、宝石が絡んだ途端にえらい変貌をとげましたが、それでもやっぱり天使認定なのはすごいわ正義……。ゴルゴ谷本とリチャードさんの遭遇が待たれます。

どちらかというと、宝石よりもリチャードのほうが謎いっぱいなので、そのあたりもそのうち明かされるのかな、と楽しみにしています。

宝石商リチャード氏の謎鑑定
辻村七子/雪広うたこ
集英社オレンジ文庫(2015.12)
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