おこぼれ姫と円卓の騎士 白魔の逃亡 / 石田リンネ

本の感想, お気に入り, 作者名 あ行石田リンネ

フリートヘルムが起こしたクーデターの中、メルディとアストリッドとともになんとか王宮を脱出したレティは、囮になるアストリッドと分かれてメルディと二人で逃避行を開始する。一方、フリートヘルム派に軟禁されたレティの騎士たちは、それぞれの立場で行動を開始して……

最終章開始の一冊、いつもながらに面白かったです。

前巻が息抜きの読み切り番外編かと思わせておいて最後にああああああっという展開だったおこぼれ姫、今回は戦闘力皆無のメルディをお供にの逃避行で、ハラハラドキドキの展開の連続ですごく楽しかったです。逃げるレティ、次々に策を講じるフリートヘルムの元についたゼノンと、一つ一つレティの選択肢が切られていくこの展開が、さすがだなぁというか、容赦ないなぁというかでした。レティ達の逃走の裏では、レティの騎士たちがあの手この手で現状を打開しようと行動を開始していました。一番笑ったのはウィラードです。大親友デュークを巻き添えに表舞台に立ったウィラードさんはさすがでした。

全体的には硬派な戦記物ののような体をなしていましたが、逃走中のメルディとアストリッドのほっこり恋話と、そして、レティに対するシャルロッテ姫の後押しが大層強力で、こういう部分の「少女小説分」が良いものだなぁと感じておりました。色んな意味でこの物語で最強なのはシャルロッテ姫なのかなぁと感じつつ、レティの王女モードでの戦闘が開始されるところで次巻に続く、でしたので次も心待ちにしております。

おこぼれ姫と円卓の騎士15 白魔の逃亡
石田リンネ/起屋一子
ビーズログ文庫(2016.10)
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