恋衣花草紙~山吹の姫の物語~ / 小田菜摘

本の感想, 作者名 あ行小田菜摘

幼くして入内した真子だが、ほどなくして帝が崩御、わずか12歳で寡婦となってしまう。その後、真子は幼馴染である帝の第二親王の式部卿宮迪里の援助を受けて慎ましやかに生活をしていたが、ある日偶然真子と迪里は御簾を通さず直に顔を合わせてしまい、お互いに心奪われてしまう。

自重しない親王様のお話。

血がつながっているわけではないが、父帝の女御といういわゆる世間的には結ばれてはいけない相手に恋心を抱き、ありとあらゆる手段を用いて真子をてに入れようとする親王さまと、想いをよせるものの想いを成就させてはいけないと自制する真子の恋物語。あとがきにも書いてあったのですが、親王様がたぶん小田さん作品の中で一番恋愛脳で、攻めるなこの人ーと感心しながら読んでいました。恋心に流されないヒロインに対峙するヒーローとしてはこれくらいのアグレッシブさがなかったら物語が進まないのでちょうどいいバランスだったかもしれません。

二人の障害というか、恋路を邪魔する人たちがいい感じに小悪党というか意地悪な感じで最後の最後にすかーっとやりこめる(物理含む)ところが良いものでした。二人の恋がきれいに着地するのは少女小説なのでそのあたり疑ってはいなかったのですが、悪役がいい感じにやり込められるのもお約束といいながらも網羅されていて良いものでした。

恋衣花草紙~山吹の姫の物語~
小田菜摘/宵マチ
ビーズログ文庫(2017.4)
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